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永田章人 代表取締役 株式会社永田デザイン
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この福祉施設はエコハウス仕様のですね

実施がもう半分以上終わってて、設備の空調の設計も、エアコンで終わってたんですよ。
まさか、輻射冷暖房って思ってもいなかったんでね。
そういう中で、ちょうど丸谷さんのエコハウス研究会の浜松教室の第2回を聞いて、もう酒井さんと、その帰りの車の中で「じゃあ、いつ丸谷さんのところ行こうか」みたいな感じでした。
電話したら、快く「どうぞ」って言ってくださったんで。それで突撃しました。
そしたら、もう本当、この建物に、やっぱりぴったり合ってるなと思ったんですよ。
体にも負担をなるべくかけたくない方たちが、利用されるってのがあって。
やっぱり、人の住宅以上に、なんかそういう優しい建物にできるかなと思ったんですよね。
お施主さんが、すごく非常に理解してくれたんですよ。「それはいいね!」と。
「ちょっとお金かかりますけど」と言ったら「まあいいよ」と言ってくださった。非常にありがたかったです。

エコ仕様に変更して工事費は上がりましたか?

それはエコ仕様でいくら上がったかっていうとちょっとなんとも言えないですね。
それ以上に、やっぱり去年の春からの労務単価の高騰と、あと資材不足とかで、建設費が去年の9月以降、前年比で大体2割くらいは上がってたんですよね。
その影響が、一番大きかったんじゃないかなと思って。それがなければね。まあまあ、当初予算どおりで、きたんじゃないかなと、思ってるんですよ。
実際「そらどま」で一番かかったのは、ウッドファイバーの断熱材とか、サーモバリアとか、あとバウビオ。要するに、1個増えると平米1,000円くらい増えてくんですよね。1,000円~2,000円増えてく。
そうすると500平米あるんで50万~100万増えてくんですよ。
といっても、積み重ねても多分1,000万とか絶対増えないですから。むしろ空調設計は、輻射冷暖房のほうが安かったんですよ。はい、安いです。クール暖のほうが天吊りエアコンより安かったです。

事務室だけは、ちょっと北西面にあるんで、夏場の西日の影響を考慮して、バックアップのエアコンは、一台つけてあります。
そんなにコスト増になってないと思いますよ。
「そらどま」も全部ね。換気設備も、もっと24時間換気として、計算がしっかりできればいいんですけど。設備設計のほうで、ちょっとこれのシステムだと、24時間の設計ができないって言われたんですよ。
なもんで、ダブルで換気扇がついてるんですよ。
現場に来て、丸谷先生が「じゃあ、そらどまの方の換気は、外部から取り入れたらあと、中で回すっていうふうにして、廃棄しないようにしよう」って。
そういう話になって変更したんですよね。そこらへんは、若干まあ減ってますけど。逆に「そらどま」で24時間換気が、全館で取れてれば、局所換気はもっと減るんで、大分ダクトの数も減って、吸排気が減ると、費用も大分安くなったかな。50万円くらい十分出たかなと思う。
ランニングコストを考えれば多分あれじゃないですかね。十分元が取れて居心地考えれば十分プラスになるというふうに思ってます。一応、お客さんにも分かってもらってます。

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そらどま仕様の建材をお使って一番苦労したことを教えてください

バウビオは、とにかく大変な材料でした。
性能が素晴らしいのは、よく理解できたんですけど、これをきれいにメジで納めるのが問題。厚さが15ミリもあるんで、どうやって止めるんだって話ですね。
仕上げをしなきゃ、いけないんですが、普通のEP塗りとかしちゃうと、バウビオは、死んじゃうわけですね。吸湿しなくなっちゃう。膜ができちゃうんで。
吸放出できる塗料を、塗らなきゃいけないっていうと、それに結構お金がかかるんですよ。だから非常に大変でしたね。
効果をすごい期待してるんで。その価値はあると思うんですけどね。

あとは、本当に知らない材料がいっぱいあったんですけど。すごい材料が、いっぱいあるなと。もう本当に今回、丸谷先生にいろいろ教えてもらってね。名前が、こんがらがっちゃうんですよね。イーストなんとかとか。シルバーだとか。インテルだとか。ジャパンだとか。最初、用語だけで、頭がぐちゃぐちゃになってました。やっと最近普通にしゃべれるようになりましたから。それだけでもなんかすごいありがたいんで。

あとはそうですね。あとは、断熱材を全部ウッドファイバーにしたいんですけど、なんせ高い。
もう少し安くなってくれるといいな。間伐材と使ってね。この静岡もそうですけど。山にいっぱい木が捨ててあるわけなんで。放置残材がいっぱいあるじゃないですか。
ウットファイバーを簡単に作れるプラントが、どこの山にもあれば、こんなもの、いくらでもできると思いますよ。
そういうミニプラントを開発してもらいたいですね。だから木を山から下ろさないで、ウッドファイバーにして下ろすんですよ。
そうすればね、もうみんなウッドファイバー使いますよ。グラスールが消えますよ。世の中から。本当そう思いますよ。

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そういうところに補助金も使ってもらいたいなと。補助金使って、山からものすごいお金かけて間伐材下ろしてきて、それをウッドチップにしたりして、フェレットにしたりして使ってますよね。
だけど補助金たくさん使って作ってますから、黄金のチップみたいな感じになっちゃってるんですよね。あんなの燃やしちゃ、もったいないだろうっていう。そういうものってなってますから。
やっぱ山で作らないと駄目ですよね、製品を。下ろさなくても済むっていう。そういうのやったら山間地の振興にもつながって、いいんじゃないかなと思うんすけどね。雇用対策にもなるし。ぜひやってもらいたいですね。

 

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今後もエコハウス仕様を続けていきたいですか。

どんどんうまく使って、やっていきたいなと。それで図面で書いてると、すごいこれでうまくできてるなって、思うんですけど。現場に行くと、意外に通気層、本当にこんなに狭くていいのかなとかね。
造ってくと、生で感じるもんで。もうちょっと、じゃあ通気18ミリ必要なのかなとか、21くらいあったほうがいいのかな、とかって、やっぱりそこらへんはね、すごく肌で感ずるものがありますね。