熊谷は日本一暑い街で、38度の日が10日続くことがあります。この暑い熊谷で、夏をいかにして涼しく過ごすかということになると、周辺を冷やしていくしかないわけですよね。
ですから水だったら例えば夏場でも25度ぐらいですし、芝生も日が照っていても濡れてれば、30度ぐらいまでしか上がりませんし、木陰の木の葉っぱっていうのは気温以上にならないんですね。自分で蒸散しますから。当然50度になったら自分が焼けて死んじゃいますもんね。でまあチリチリになればもちろん枯れるんですけども、そうしないために自分で地下水を吸い上げてますから。それでもとれないときはこういう格子戸があるわけです。
で例えば、このベランダも65度とか70度になるわけですね。日射が当たると。そうするとパネルヒーターが70度のものがあると思えば当然熱いわけですよね。これをこういう格子戸入れることによって日射の影響がなくなるわけですよね。そうすると床材の温度っていうのは気温でしか温められないものですから30度なり35度にしかならないわけですよね。
実際夏、熱い熱いって言っても気温も熱いんですけど、それ以上に熱いものがいっぱいあるわけですよね。それを徹底的にやろうというのがこの家のまずコンセプトです。
株式会社チームネットの甲斐先生ってご存知ですか。夏を涼しくするための仕組みは、三つあるって言われてるんですね。
一つは、住まいの表面温度、要するに先ほどお話した放射熱を、できるだけ少なくするということですよね。当然南側には落葉樹を植えたり、日射調整用の緩衝帯になるような先ほどのバルコニーみたいなもんですよね。窓の外をできるだけそういう涼しい空間を距離をとっておいておくということですね。これが一つ大事なことですよね。
それから当然のことながら、外から直接伝わる熱というのを防ぐ。これは高気密高断熱という中で建物の性能としてやってく部分ですよね。
さらに、大事なのは、それでも熱は入ってきますから、生活してても自分自身で熱を出したりもしますから、そういうものを出てきた熱を、非常にコントロールしながら上手に逃がしてやれるというそういう機能ですね。それは当然下から上へという感じで、空気は温まれば上いきますから、それを自然に流れるようなデザインをしてあげるということが大事ですよね。
周辺を冷やして断熱性能を上げて入ってきた熱を逃がすということでは、昔の家というのは、こういう暮らし方をしてたわけですけれども、今はもうちょっと技術があって、それでも熱くなったものは、少し機械を使って冷やしていこうという二次的なものができるわけですよね。この家の場合は、それを井戸水で冷やしてるというこのが特徴的なんですね。
でファンコイルなんですね。井戸水と。床下にあるんですけれども、当然のことながら外断熱の基礎ですので、地中熱も非常にひろえるんですけれども、それだけではなかなかこの熊谷40度近くなるところを涼しくできないものですから第2種換気ですね。外気を押し込む形で吸気をとってます。ですから丸谷先生のとこのOMなんかもそうですねよね。
北側のほうは、当然涼しいですから北側から一ヶ所から空気を入れてます。30度が入ってきたとしますよね。井戸水は17〜8度でとれますので、これをラジエーター型のファンコイルに風を入れて出してくると、24〜5度の空気が入れられるわけですね。当然ここ結露しますから乾いた24〜5度の空気が出てきますからそれを床下にふいてあげて、床下をチャンバーにしながら放出してるわけですね。行先は床下などにグリルがありますけれども、家の中に入ってきてます。
これはもう一つミソがあって。今空気がここから出てくるわけですね。こういうところから出てくるわけですね。出てきたものは要するに第2種換気なんで、押し込み型なのでどこか出口を探すわけですよね。それを一番高いところにしてるわけなんですよ。
「置換換気」って私たちは言ってるんですが、押し込んだものは冷たい空気で上にはあったかい空気がたまってる。この熱い空気が下からの空気の流れで置き換わってどんどんこれが新陳代謝してくわけですよね。ですから夏でもこの家ではそういう冷房の仕方ですけれども1階と2階の温度差が2℃開くことはないんですね。
2階階段上がってくと、ムッとする暑さは全くないです。そういうレベルまでできてます。でこの井戸水はここで結露をとってますのでもう結露しない温度になってるわけです。
大体出てくる空気の温度よりちょっと低いぐらいですね。24〜5度なんですね。でもうこの温度っていうのは安全な温度なんですね。室内環境の温度からすると。井戸水を直接例えば壁の中に入れたらもう水滴だらけです当然ね。でもこれは安全な温度なのでこれは床暖房用のパネルみたいなのがあって、それを壁づけにして流してるんですね。更に潜熱蓄熱材って言いまして、まあアイスノンみたいなものだと思ってもらえばいいんですけど、それを調合することによって融点をコントロールできるんですね。要するに氷っていうのは、解けきるまで零度なわけですよ。零度を保てるわけですよね。でこの潜熱蓄熱材は、25度に調整してもらって25度を保てるわけですよ。だから朝方なんかは、当然凍ってるっていうか、25度でかたまってるわけですよ。24度かもしんないけど。でもこれを流してくことによってこちらの温度が少し高くなってきても、この温度は25度を保てるようになるわけですね。
例えば壁温度を計ると、27〜8度になることがあるわけですね。他のところは。空気温も含めてね。でもここは25度になるわけです。23度しか違わないんですけども、その若干の冷輻射っていうのそれは、またここで気持ちのいいものです。
だからRCだったらRCの壁でもいいんですけど、木造なんでこういう蓄熱材を入れないと容量がもたないもんで、こういうことをやったんですね。
当然のことながらナイトパージできますので、朝方はこれも動かしてませんで。風をいれますから。
これはパイプは、ユニットになってて、12ミリの中に入ってるんで9ミリぐらいのパイプですかね。
いわゆる床暖房と同じような感じです。4畳半用のパイプをここでくっつけたんです。
蓄熱材は30ミリグラムあったかな。それがまた平均的にいかないと困るので何をしようかって話で、まあ金属がいいよねって話なんだけど、金属は施工がなかなか難しかったのでレントゲンX線の防護用のプラスターオードに鉛がはってあるのありますよね。それを入れて平均的にここが温度を保てるようにしてその上に仕上げてるわけですね。
結露は出ないです。
ただ25度が露点になっていますので、雨が降りそうな日とか雨が降った後とか、例えば北側の窓をあけといたりして直接外気が入ってくると結露します。
だから室内をちゃんと密閉してっていうか空気をちゃんと循環させとけば大丈夫です。
今年で5年目です。まあデータもきちっととってありますから。
だから非常にこれをやれってことじゃないですけど、小さなエネルギーでいけますよということですね。この家38坪あるんですけどこの井戸水の流量と水温と計算すると1,300ワットぐらいですかなそのぐらいですね。だから3畳用のエアコン1個ぐらいなんですね。
まあそういう3畳用ってないですけどね。それで全部26〜7度になるわけですね。だから8割ダウンぐらいです。エネルギー量は。夏はね。
だから僕が思うのはOMもそうですけども置換換気っていうのは非常に有効だと思うんですよね。
だからOMは冬場は非常にいいシステムだと思うんだけど、夏場がもう少しそういうものを工夫ができたらいいなと思って思うんですね。
空気が床下から入ってきますよね。ここですよ。外が38度、内が26度保ってるわけです。
でもこの日は例えば室温が40度になっちゃったらあの機械では冷しきれないんですよ。
維持するぐらいのがやっとなんですね。そのぐらいのエネルギーしかないんですよ。だからナイトパージがすごく大事なんです。空気の温度を25度にするんじゃなくて壁面を含めて全部25度にしたいわけですよ。
だから朝の温度が28度の日が1週間続いたらこの家は結構きついです。
朝25度とか24度とか23度なんかになると最高なんですね。そうすると朝の温度が空気を入れ替えてでいわゆるナイトパージをするために新兵器があるわけですね。当然南北の風を流したいので夜防犯をかねた格子戸がついてますよね。
例えばこちらも先ほどの話のように日射遮蔽が当然夏は必要なわけですよ。まあすだれだと思ってもらえればいいわけ。
その温度が朝の日の出る前の温度が例えば25度だとしたらこの家の日中の温度は27度なんですよ。朝の温度が27度だと日中の3時頃の温度は29度です。
約2度です。
2度ぐらい。2度しか温度が動かないです。
洞窟にいるようなそういう涼しさですね。だから壁の温度が低いですね。
だからそんなに冷やさなくても楽なんですよね。
でまああと必要に応じて切っていこうと。要するにこの吹き抜け空間を空調の大きなチャンバーになってるわけですよね。これに面することによってそれぞれの部屋が快適になってるよっていうことです。
親父の代では、親戚の家とか造ってましたけどコンセプト持って始めたのは私の代からですね。
私で3代目です。
私は、思い切り請け負いしちゃおうという形でまあ販売もいくらかはあるんですけども、そこは共生はできないだろうかなと。バランスをね。ただどの今まで売り先でも工務店さんもたくさんありますから、そこにつばをはくようなことはできないんで、同じようなことはやれないんで。コンセプト持った建物をやりたいと。
木材の卸はしています。だから逆に、それを見本になるようなちょっと先をいったものをやりたいという、パイロット事業みたいな感じですけどね。
ほとんどないと思いますね。まあ積水さんとかスエーデンハウスとか、そういうとことは競合することはありますけどそういう感じですね。
そういうこともあってちょっとコンセプトな住宅を。
非常にいいんで内容は濃いししっかり全体をとらえた中での一つ一つのお話があったもんですからとりあえずまとまるじゃないですかお話が全部トータル。全部吸収はでききてないんですけれどもただ例えばじゃあ土の壁について興味が持ったらどういう風にこれから自分がまたアプローチして自分のものにしていけばいいかって入り口が見えた感じがするし。
だから大きな百科事典をそういうエコハウスの百科事典をひとまわり説明してもらってこの奥はこういうものがあるんだよっていうのを見せてもらったような感じなんでそれを今手にしたところでこれから自分の中でそれをどうやって咀嚼して消化してこうかなっていう感じです。いやでもそういう感じ。いただいた資料だけでも相当ボリュームがありますし全部を把握はできないし。というところなんですけれども。
だからこれからそういう仕事していく中でここはって迷ったときに立ち戻れたりあるいはアドバイスをしていただいたりっていうことがつながりとして仲間を含めて一緒にそういうことができるんじゃないかなっていう期待はありますね。
印象に残ってるのは建築士会のときにももちろん聞いてちょっと聞きかじった話なんですけどもわらぶきの屋根の涼しさであるとか土壁の断熱で今の性能基準ではかればたいしたことないんだけどあったかくて涼しいとかっていうものはまだまだ僕の中ではわからないっていうか体感的にはわかるんですけどそういうものがあるんだなっていうのは非常に勉強になりました。
そうですよね。だからまだまだこういうものも完成途上であるしね。いろんなまだ工夫はいっぱいあるんじゃないかなってそれが今の技術に求めるよりも昔の知恵に戻ったほうがきっとひょっとしたら答はあるのかなっていうのはありますよね。
今回最後にいただいた図面集っていうんですかね。あれなんか大変な資産ですよね。あそこまで出してしまっていいのかなって思うぐらいですけど。
僕は設計士としてというよりは結局住宅会社としてやっていたい思いが強いものですからできるだけ企画をある程度をしていたいんですよね。毎回違うっていうのは現場サイドも大変ですしそれを確立していく必要はあるかなと思ってますよね。
例えばエアコン1台で実際に夏も冬も快適でというようなものは目指してるとこですよね。何もないっていうのはやはりちょっと無理だと思います。正直なところ。
日中暑くてそれでも明け方冷える熱帯夜じゃなくて寝られるんなら体はもつんですよ。ところが寝られない蒸し暑くて。例えば二階の西側の壁の面が普通の家だと断熱が悪かったりすると多分夜中で40度ぐらいになってるんですよね。熱がこもっててね。
熱こもっちゃって。
でエアコン消した途端目が覚めるっていうのは結局先ほどの体感温度ですよね。
いくらこっちが温度を設定してもってことですよね。だからもうそういう生活をしてると体がまいってっちゃうんですよね。
だから健康に暮らせるっていうのはこういう断熱のことであるとかふく射のこととかやっぱり勉強してかないときちっと提案ができないのかなと思うんですよね。